おすすめ書籍紹介
- ブログ
『お母さんのためのアンガ―マネジメント』
著者紹介:島田妙子
日本で初めて「母親のためのアンが―マネジメント」開催。
「大人は自分の感情に責任を持とう。」こう語る筆者は
幼少期に6年間にもわたり壮絶な虐待を受けた経験を
もとに、児童虐待防止の活動を行っている。
アンガ―マネジメントは、
1970年代にアメリカで生まれた、
「怒りの感情と上手に付き合うため」の
心理トレーニングで、2011年頃から日本で広まり始めた。
アンガ―マネジメントとは、直訳すると「怒りの管理」
となるが、怒りを我慢したり抑え込んだりすることではなく、
怒った時に適切にその感情に対処し、自分の感情に責任を
持てるようにすることである。
早速、これより「怒りへの適切な対処法」
(怒りと上手に付き合う方法)について見ていこう。
人間である限り、怒りを感じることはごくごく自然なこと。
大切なのは、「怒らないようになるのではなく、
怒らなければならないことには上手に怒ることができ、
怒る必要のないことは怒らなくて済むようになること。」
具体的な対処例
□まずは、しっかり体を休めること。
体が疲れていると怒りのホルモン「アドレナリン」が
分泌されやすくなる。
寝不足、家事や仕事で疲れている時など、普段なら
なんでもないことにイラッとして怒ってしまうのは
「アドレナリン」のせいである。
↓(対応策)↓
・休息を取ることで抑制されるので、体を休めることは精神の安定につながる。
・精神の安定を司るホルモン「セロトニン」は、適度な運動や睡眠によって増える。
□怒りは第二の感情。
「つらい」「悲しい」「分かって欲しい」…といった、
第一感情を口に出すと頑張れなくなってしまうので、
こうした言葉を言う代わりに怒ってしまう。
↓(対応策)↓
怒っている感情に目を向けず、「怒る前に感じていたことは何か。」と第一感情に目を向ける。
□六秒ルール
イラッとしたら六秒やり過ごす。
心の中で六秒数を数えたり、他のことに意識を向けてみる。
□コーピンングマントラ(魔法の呪文)
コーピングは「切り抜ける」、マントラは「言葉」
「呪文」という意味。
↓(対応例 ↓
ついカッとなって怒ってしまいそうな時には、
怒りとは関係ない言葉を心の中で言ってみる。
(例.)「大丈夫、大丈夫」「そうきたか!」など、何でもよい。
□四秒吸って、八秒吐き出す。「深呼吸」
怒っている時は、アドレナリンが分泌され呼吸が
浅くなる。
↓(対応策)↓
深呼吸が効果的。吸うときは鼻で四秒、八秒かけて
ゆっくり吐き出す。苦しければ、三秒吸って五秒吐き出す。
吸う時間より、吐く時間を長くする。
深呼吸するとセロトニンが分泌されて気持ちが落ち着く。
□一旦その場を離れてみる。
↓(対応策)↓
スポーツにも「タイム」があるように、
怒ってしまう時にも「タイム」を使うと良い。
一旦その場を離れ、深呼吸してアドレナリンを抑える。
□怒りに温度をつけてみる。
怒りの度合いは結構あいまいなもの。
↓(対応策)↓
怒りにも温度をつけ、怒るべきか怒らなくてよいのか
線引き出来るようになる。
□「これ本当に怒らなきゃいけないこと?」と
問いかけてみる。
目の前の出来事に「意味づけ」をする。
ポジティブに受けとめて意味付けした場合と、
ネガティブに捉えて意味付けした場合では、
出来事に対する反応は大きく変わる。
↓(対応策) ↓
ものごとをネガティブに捉えないクセをつける。
□自分が怒っているのは「誰かのせい」だと思っている。
感情は誰のものでもなく自分だけのものである。
これを分かっていないと怒りの原因を
誰かのせいにしてしまう。
怒りの原因は「こうする『べき』」という気持ちが
強いことにある。
『べき』は自分が信じていて、譲れないこだわり。
これを相手に押し付け、そして、この『べき』が目の前で
裏切られた時に怒りを覚えてしまう。
↓(対応策)↓
イラッとする度に隠されている「べき」を探し、その上で
怒るべき問題か怒らないで良い問題か考える。
□「三重丸」を描く。(思考のコントロール)
アンガ―マネジメントの目的は
怒らなくなることではない。
怒る必要があるときには上手に怒り、怒らなくてよい
ことなら怒らない。それをどう判断するかが大切。
↓(対応策)↓
「三重丸」を描いてコントロールする。
自分を中心に、
「許せるゾーン」(自分の「べき」)
「まあ許せるゾーン」(自分の「べき」と違うけれど許せる)
「許せないゾーン」の円を描く。
今、目の前で起こっている「怒り」がどのレベルか
上のゾーンのどの位置か確認する。
その上で、相手と対すること。
以上が、「怒りと上手に付き合う方法」である。
再確認となるが、アンガ―マネジメントの目的は、
怒らなくなることではなく、「怒る必要があるとき」には
これを行使する。
そこで、次は「正しい怒り方」(=怒る際のルール)について確認しておく。
□人を傷つけない。
暴力はもとより、言葉で人の気持ちを
傷つけてはいけない。
□モノに当たらない。
モノに当たっていると、やがて人にも当たるようになる。
エスカレートしていくので注意。
□怒るときにはリクエストを添える。
怒る場合には、相手に対して「次からこうしてね」という
リクエストを伝える。何が問題だったのか、
それをいつまでに、どの程度改善してほしいのか、
言葉にして伝えること。
□人格攻撃をしない。
能力否定もしてはいけない。
□人前で怒らない。
見せしめのように人前で怒るようなことを
してはいけない。
基本は、一対一の「フェイス to フェイス」が
望ましい。
以上、「怒る際のルール」である。