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『アドラー流子育て』
書籍紹介:アルフレッド・アドラー(1870年~1937年)
オーストリア出身の精神科医・心理学者
フロイト、ユングと並んで個人心理学理論や
心理療法を確立。
「自己啓発の父」と言われている。
アドラー心理学は、「勇気づけ」という
技法がベースになっている。
勇気づけとは、一言で言うと「
困難を克服する活力を与えること」である。
勇気づけが習慣化すると、「ここを越えれば
もっと成長できる!」、「人生のリスクに
直面した時にチャレンジする!」、
「困難は克服できる!」ととらえるようになる。
これより、アドラー心理学を基に、
子供への関わり方を見ていく。
内容の構成は、次の3つからなる。
≪子どもの行動を理解すること≫
≪子どもへの関わり方≫
≪子どもが伸びる勇気づけ≫からなる。
≪子どもの行動を理解すること≫
子どもが何らかの行動を取るときには、
必ず「目的」が潜んでいる。この目的に
気づかないでいると、親である私たちは
子どもを無意味に叱ったり、感情的に
なったり、高圧的に出て支配したり…
といった行動を取ってしまいがちになる。
これらはすべて、子どもの目的に注目しない
目先の対応といえる。
このような子育てをしていると、
子どもは適切な行動を取るようにならない。
↓(対応策として)↓
子どもが適切な行動を取るようになる、
このために親が出来ることは、
- 親が子育てに対して目標を持ち、
- それを常に意識すること。
例.20歳になったら、どのような
人間になって欲しいか、
子育ての大きな目標を意識する。
そして、目標に立ち返り理性的な判断をする。
- その目標をかなえるための手段・方法を身に付ける。
・「勇気づけ」を身に付ける。
・聞き上手になる。
・意見、事実の違いを見分ける。
・自然の結末と論理的結末を経験させる。
(補足)親が子どもに示す関心を「正の注目」
「負の注目」に分けて考える。
・「正の注目」とは、子どもの行動に
対して「良かったね」「助かったわ」
とほめ言葉やごほうびを与える。
勇気づけながら関心を示すこと。
⇒子どもは自分の要求を(目的)を
通してもらったと思い、満足感が得られる。
・「負の注目」とは、
「何度言えば分かるの!?」
「ちゃんとしなさい」と禁止したり、
命令したり、叱ったり罰を与えて
支配しようとすること。
⇒子どもは不快に感じるものの、
親に関心を示してもらったと感じる。
・「無視」は、子どもの存在自体を
否定したことと同じ。
⇒わざと不適切な行動を起こすことがある。
無視されるよりは、負の注目を
されてでも親の注目・関心を引きたい。
※子どもの行動は、多くの場合、
親の注目を引くことにある。
「親にほめられたい」
「認めてもらいたい」
「分かってもらいたい」
「信じてもらいたい」という思いで行動する。
≪こどもへの関わり方を変えよう≫
子どもの取る行動や考えは、
親から見れば未熟なため、
親は常に子どもを正しく導こうとする。
そこで、つい子どもの行動や考えの
足りないところを、注意したり指示したりする。
子どもはこれを「批判された」
と受け取るようになる。
批判されたと感じた子どもは、
「親は分かってくれない…」と
次第に親を信頼しなくなる。
また、「批判されるぐらいなら
いっそ何もしない方がマシだ」と
チャレンジする勇気を失い、消極的になる。
批判された子どもは、
「自分は能力がない」
「無価値である」と考え、
消極的になったり、
自信を失くしたりする。
※思春期の子供の場合、
アドバイスも批判と
受けとめることがある。
求められていないのに
アドバイスすると、そう思われることがある。
↓(対応策)↓
では、どのような対応が望ましいのか。
- 子どもの言うことを否定しない。
- 子どもの気持ちに共感して言葉をかける。
- 代替案を共に考える。
- 子ども自身に宣言させる。
(補足)逆に、批判・罰を与えると
次のような問題が起きる。
・人の顔色を伺いながら
行動するようになる。
・罰せられることで意欲を失い、
適切な行動を取らなくなる。
・自分の行動に自信や判断力を
持たなくなる。
罰は「百害あって一利なし。」
≪子どもが伸びる「勇気づけ」≫
子育ての目的は、子どもが自立する
ことにある。そのための有効な方法
として、勇気づけがある。
勇気づけは、子ども自身のあるがままを
認めるということ。そうすることで、
子どもは自分に自信を持ち、好きになる。
また、勇気づけは子どもの行動の
プロセスに注目するということ。
たとえ結果が失敗であっても、
そこに至るまでに努力したことを認める。
すると、子どもはさらに意欲的になり、
積極的に経験を積み重ねていけるようになる。
勇気づけをすると、子どもを尊敬し
信頼しているというメッセージが伝わるため、
子どももまた、親を尊敬し、信頼するようになる。
↓(勇気づけの工夫)↓
勇気づけを実践する際の10か条。
- 子どもの良いところに目を向ける。
(短所・欠点ではなく、長所・才能に注目。)
- 子どものプロセスを重視。
(結果よりも努力・プロセスを重視。)
- 不完全さを認める。
(親も子も不完全であることを
認める勇気。完璧な人はいない。)
- 比較を避ける。
(他人と比較するのをやめて、
子ども自身が目標を設定。取り組んだ
ことに注目。)
- 親自身が協調できる存在でいること。
(親と子、それぞれ個性を認め合い、
協調し合うこと。)
- 信頼関係を築く。
(子どもを無条件で受け入れている
という態度で接する。)
- 過去ではなく、未来に目を向ける。
(過去の行動にとらわれるのはNG。
子どもが未来に向かって行動できるよう
良い面を積極的に見出す。)
- 子どもを支え、共に歩む。
(勇気づけのつもりで「○○したら
△△してあげる」という声掛けは、
子どもの圧力になる。)
- 対等の友人として言葉をかける。
(親が子どもをひとりの人間として
信頼し、尊敬する。親子であるが
上下の関係ではなく、対等の関係で
関わることが大切。)
- 失敗はチャレンジの証、
成長のチャンスと見る。
(がっかりしている子どもの気持ち
に共感し、今後どうすればよいか
一緒に考える。)
※常に親は子に対し、「尊敬」と
「信頼」の念を持ち続けることが大切。
(参考)信用・・・信じて良い根拠が
ある時だけ相手を信じる。
信頼・・・子どもがどんな行動をしても、
根拠を求めることなく信じること。
尊重・・・相手を自分より劣ったものと
みなし、その上で相手を認めること。
尊敬・・・相手を自分と同じ価値観を持つ人間
として重んじること。「能力がない」
「努力しない」という子どもでも、
人間としての価値は少しも劣っていない。
アドラー心理学が「目的論心理学」
「勇気づけ心理学」とも言われるが、
これまで見てきたことからも、
その意味が分かる。