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ヒルティ『幸福論』
著者の紹介:カール・ヒルティ(1833年~1909年)
世界三大幸福論の一つ。アランの『幸福論』、
ラッセルの『幸福論』と並ぶ。
スイスの思想家、哲学者、法学者、政治家。
下院議員を務める。
今回は、ヒルティの『幸福論』を取り上げる。
ヒルティはこの本の中で、「幸せづくり」の
基本について述べている。
このなかで特に大きく取り上げているのは
「仕事」についてである。
私たちが人生の大半の時間をかける「仕事」
を通じて、幸福の在り方について語っている。
ヒルティは仕事について、次の言葉を残している。
「仕事が楽しみなら、人生は楽園だ。
仕事が義務なら、人生は地獄だ。」
「仕事は幸福になるための第一条件である。
生涯をつらぬく仕事なしに幸福は考えられない。」と。
一般的に、仕事というと、「しなければならない」
ことのように「義務」だと思っている人が多い。
しかし、どんな仕事でも真剣に取り組んでいると
面白くなり、心が引きこまれていく。
では、どうすればこのような境地に入ることができるのか。
ヒルティはこの点について具体的な対処法を紹介している。
具体的に、2つの課題に分けて説明している。
一つ目は「仕事に入る時の工夫」、
二つ目は「仕事の勢いの付け方」について説明している。
≪仕事に入る時の工夫について≫
仕事を目の前にしながら、働く気になれない時がある。
このような時は、次の通り工夫してみると良い。
□気分は無視して仕事に立ち向かっていけば、
そのうち最初の億劫だった気持ちは消え失せ、
やる気が湧いてくる。
□きちんと決められた時間に、
決められた仕事をしっかり行う。
「決まった時間に規則正しく働く。」ことで、
体がこれを習慣と覚え、頭が命じなくても
体が仕事を始めるようになる。
規則的な動きで体調が良くなり、
進めていることがはかどる。
□自分の得意な部分から始めて、勢いをつくり出す。
得意な分野の仕事は、スピーディに仕上げられ、
ほとんどの場合、ベストの仕上がりとなる。
そして、気持ちに弾みがつき、これをバネに
次の仕事に入りやすくなる。
□自分の実力に合った仕事を確実にこなしていく。
その積み重ねで次第にステップアップし、
やがては難しい仕事に手が届くようになる。
※これらの工夫を通じて、
「仕事に使われる自分」を
「意志を持って仕事を動かす自分」に変えていく。
≪仕事の勢いの付け方について≫
一つ目の項目を通じて、主体的に仕事に
臨む状態をつくりだすことが出来た。
しかし、この主体性をずっと維持することは難しい。
ではどのようにしたら良いのか、
この点について説明していく。
□より良い仕事を、より多くこなすためには、
無駄な時間を費やすのはやめ、その分、
エネルギーをセーブするよう心がけることが大切である。
□精神を集中しなければならない仕事なら最初の1時間、
いや最初の30分くらいが有効な時間である。
機械的な仕事には、断片的な時間を当てるのが良い。
コマ切れ時間を生かせるようになれば、
時間配分がうまくなる。
□仕事の効率を上げる方法は、時々、
取り組む仕事を変えてみることだ。
仕事の内容を変えることで気分がリフレッシュし、
休息をしたと同じ効果が得られる。
□やりかけの仕事を置いて、次に仕事に移る時がある。
この時は、ある区切りまできちんと仕上げておけば、
次に取りかかる時にもスムースに進めることが出来る。
(前の仕事の重複を避けて、スタートできる。)
□難しい仕事は、進めていく上で関門がいくつもある。
考えて考えて考え抜かなければ解決に向かわない仕事に
対しては、何度も手を加えて仕上げていく方法を取るのが良い。
最初はぼんやりと、なんとか輪郭がつかめる程度だった課題も、
2度・3度と繰り返すうちに次第に細部が見えてきて、
理解が進んでいく。
以上、仕事への向き合い方について述べてきたが、
上述の流れを通して得られる「充実感」や
「自身の成熟」を感じることこそが大切である。
これが、仕事から得られる
「最大の報酬」というものである。