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 『能力を磨く』

AI時代に活躍する人材「3つの能力」

 

書籍紹介:著者 田坂 広志(1951~  )

     専門は社会起業論。社会起業大学名誉教授。元内閣官房参与。

 

私たちのこれからの社会は次の3つの現象を迎えると言われている。

第一「能力の急速な陳腐化」

第二「学歴社会の崩壊」

第三「AI時代の到来」 

以上の3点である。

 

 まず、第一の「能力の急速な陳腐化」について見ていく。

現代は、いわゆる「ドッグイヤー」「マウスイヤー」と呼ばれる時代である。

過去の7年の変化が1年で起こる、もしくは過去の18年の変化が1年で起こる

と言われるように、社会や市場、産業や職業の変化が激しくなっている時代である。

若い修業の時代に苦労して身に付けた仕事の能力もその社会の市場、産業や職業の変化に伴って

急速に陳腐化してしまう。

私たちは、常に新たな能力を身に付け、磨いていかなくてはならないという状況の中にいる。

 

 次に、第二の「学歴社会の崩壊」とは何か、という点について見ていく。

21世紀高度知識社会において、現在の我が国の教育制度の下で生まれている

「高学歴」の人材は、必ずしも仕事において優れた能力を発揮する人材ではなくなってきている。

高度知識社会とは、絶え間ないイノベーションが続く社会であり大企業や大組織よりも

ネットワーク的に結びついた個人が活躍する社会である。

つまり、これから活躍する人材とは「イノベーション力」「ネットワーキング力」

「リーダーシップ力」といった力を発揮できる人達である。

我が国の教育制度は、こうした人材を育てる制度になっていない。

「勉強ができる人材」が「仕事ができる人材」を意味しない状況になっている。

 

 最後は、第三の「AI時代の到来」についてである。

AI(Artficial Inteligence)の開発が進み、これから広く社会に普及していくが、

この「AI」時代には、これまで人間が担ってきた仕事の多くがAIによって代替されていく。

AIでは代替できない能力、人間にしか発揮できない高度な能力を身に付け、磨いていかない限り、

我々は生き残れない。「AI失業」という状況に陥ってしまう。

 

 

 これからのAI時代において「淘汰されない人材」となり、さらには

「活躍する人材」となるためには、どのような能力をどう磨いていくべきか。

 

まず、これまでの知的労働の現場において、人間に求められている能力とはどのようなものかを見ていく。

この後、AI時代でも生き残る、言いかえればAIが人間にかなわない能力について述べていきたいと思う。

 

現在の知的労働の現場において、人間に求められている五つの能力。

第一「基礎的能力」(仕事に没頭できる、継続できる能力。「知的スタミナ」)

第二「学歴的能力」(論理的思考力、知識の習得力。「勉強ができる」という能力)

第三「職業的能力」(発想力、企画力、プレゼンテーション力。)

第四「対人的能力」(「コミュニケーション能力」「ホスピタリティ力」)

第五「組織的能力」(「マネジメント力」「リ-ダーシップ力」「人間関係力」)

 

次に、上の五つの能力の中で人間がAIにかなわないものは何か。(AIの強み)

  • 「無制限の集中力と持続力」=上記第一「基礎的能力」
  • 「超高速の論理的思考力」 =上記第二「学歴的能力」
  • 「膨大な記憶力と検索力」 =上記第二「学歴的能力」

以上の3点がAIのすぐれた能力である。

 

では、AIが代替できない能力は何か。(人間だけが発揮できる能力)

■「職業的能力」=「クリエイティビティ(創造力)」

■「対人的能力」=「ホスピタリティ(接客力)」

■「組織的能力」=「マネジメント(管理力)」

上記「三つの能力」は人間だけが発揮できる能力である。

 

 では、どのようにして三つの能力を磨いたらよいのか。この点について考えていきたいと思う。

まず、最初は「職業的能力」についてである。

この能力の本質は、経験や体験を通じてしか掴めない「体験的知恵」である。

実社会で仕事を進めていくために不可欠な能力である。

例えば、発想力・企画力・会議力・プレゼンテーション力・営業力や交渉能力など。

これらは総じて、「仕事力」と呼ばれるものである。

こうした能力を身に付けるには、スキルやテクニックという「技術」とマインド・

ハート・スピリットやパーソナリティと呼ばれる「心得」(「心構え」「心の姿勢」)

を組み合わせた能力が必要である。

 

 

※「技術」+「心得」=経験や体験を通じ始めて掴むことが出来る。(体験的知恵)

仕事の「経験」をそのまま放置せず、心の中でその経験を思い起こし「追体験」し、「知恵」に昇華させる。

追体験のなかで反省(直後の自己反省対話・反省日記)し、知恵に昇華させる。

 

 次は、「対人的能力」について考えてみよう。

一つの分かりやすい例は、「ホスピタリティ」。日本語で「接客力」と呼ばれるものである。

顧客の気持ちを細やかに感じ取り、温かいもてなしの心でサービスが提供できる能力である。

「相手の考えや気持ちを深く理解する力」「相手に自分の考えや気持ちを円滑に伝える力」である。

コミュニケーションの80%は「ノンバーバル」と言われている。

コミュニケーションの80%は言葉によるものではなく眼差しや目つき、表情や面構え、仕草、身振りなど言語以外によるものです。

相手の気持ちや真意を掴むには上記の「非言語的なコミュニケーション力」を身に付ける必要がある。

人間に対する「推察力」「想像力」は、現実の対人関係を濃密に体験することによって身に付けることができる。

※「対人能力」をより磨くには、「非言語的コミュニケーション」に「共感力」を添えていく必要がある。

 

 最後は、「組織的能力」について考えてみよう。

「組織的能力」とは、一つの組織やチームをリーダーとして率い、マネジメントしていく能力のことである。

しかし、この「マネジメント」の仕事についても、今後、AIがその多くを代替していくと考えられている。

では、AIにはできない高度なマネジメントの仕事とは何であろうか。

それは「心のマネジメント」である。

部下やメンバーが、自発性や創造力、協調力や共感力を遺憾なく発揮し、互いに協力し合って

優れた仕事を成し遂げられるようにすること。(共感協働のマネジメント)部下やメンバーが、

仕事に意味と意義を見出し、働きがいや生きがいを感じられるようにすること。(働きがいのマネジメント)

こうした「心のマネジメント」こそが、情報革命が進み、AIが普及していく21世紀の高度社会において、

マネージャーやリーダーにとっての最も高度で重要な仕事になっていく。

 

 これからのAI時代に我々が「活躍する人材」になるには、

「職業的能力」(=体験的な知恵)

「対人能力」 (=体験的共感力)

「組織的能力」(=共感協働のマネジメント+働きがいのマネジメント)

以上の3つの能力に磨きをかけていくことが求められる。