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『人生の短さについて』
書籍の紹介:ルキウス・セネカ(紀元年前4年~紀元後65年)
ローマ帝国の政治家、哲学者、詩人。
セネカの思想は、後にキリスト教の思想にも取り入れられ
西洋人に大きな影響を与えた。
セネカは「人生は短い」と嘆いているのだろうか。確かに、せわしなく過ごすうちに人生は急ぎ足で去っていく。
いくら時間が与えられても、とどめ置く場所がなければこぼれ落ちるように時間はなくなっていく。当然、人生は短いと考える。
しかし、セネカは時間の正しい使い方を知れば時間はたっぷりあると説いている。
「我々は、短い人生を受けているのではなく、我々がそれを短くしているのである。」
「我々は、人生に不足しているのではなく濫費しているのである。」
何より尊いものである時間がもてあそばれている。時間は無形のものであり肉眼には映らないから、いとも簡単にそれを見失ってしまう。それ故にまた、最も安価なものと評価されやすい。それどころかほとんど無価値なものであるとし、時間をただ同然に惜しみなく使ってしまうのである。
では、時間を価値あるものにするには、我々はどう時間と向き合えば良いのか。
「財産を守るように時間を守りなさい。」とセネカは説いている。
自分の財産を守ろうという熱心な気持ちと同じ気持ちを自分の時間を守ることにも持ちなさいと言っている。そして、この貴重な時間を自分自身の必要のために使いなさいと訴えている。自分を省みつつ歩む人生は充実したものとなる。
主体的に生きるために自分を耕す時間を持つ。(=内省、自己反省。)
自己を耕す方法は、瞑想だけではない。日常生活の中にあってもそれに専心することによって自分を耕すチャンスはいくらでも生まれてくる。
セネカの関心は、自省による自己の探求にある。毎日毎日を最後の一日と決め「今をどう生きるか。」ということを突き詰めていく。
特に、ここでセネカが強く勧めているのは、過去を振り返り内省によって自己を深めることである。現在と未来は刻々と変わりゆくものであるのに対し、過去は変わらない。もはや運命に翻弄されることがない。
過去は確実であるが故に過去を振り返って反省することの意義を非常に
重視している。(=自己探求・自己内省)
セネカは内省の在り方についてメッセージを残している。最後に、この点について見ていく。
内省には、先哲に学ぶのが良いと説いている。読書によって過去の偉人の教えを学ぶ。人間学によって己を磨く。
「過去を学んで心の平安を得る。」
自分の課題に対する答えは、過去の賢者がすべて教えてくれる。
自分の人生を見つめ直すきっかけを与えてくれる書籍である。